倉庫業に関する罰則
一度でも倉庫業の登録を備えた施設(営業倉庫)は、登録内容に変更がない限り更新の必要はありません。
したがって、登録内容と異なる状態のまま倉庫業を継続して営業することができるため、知らないうちに違法状態となってしまうことに注意が必要です。
営業倉庫の登録内容に何らかの変更が生じたときは、その都度新たな変更登録が必要です。
倉庫業に関する法(倉庫業法)に違反したときに課せられる罰則について、ご紹介いたします。
法第28条規定の罰則
次の事項のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金に処し、または両方が併科されます。
無登録で倉庫業を営んだ者
名義を他人に倉庫業のため利用させた者
倉庫業を他人にその名において経営させた者
無登録で倉庫業を営んだ者
倉庫業法は、無登録で倉庫業を営んだ者について、次のとおり定めています。
「倉庫業を営もうとする者は、国土交通大臣の行う登録を受けなければならない。」と規定しています。
これから倉庫業を営もうとする者は、事前に国土交通大臣による登録を備えなければなりません。
これに違反し無登録で営業した者には、一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金に処すとし、またはこれを併科すると定めています。
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名義を他人に倉庫業のため利用させた者
倉庫業法は、名義を他人に倉庫業のため利用させた者について、次のとおり定めています。
「倉庫業者は、その名義を他人に倉庫業のため利用させてはならない。」
倉庫業の登録を受けた者(倉庫業者)は、他人が倉庫業を営むために自身の名義を利用させることが禁止されています。
これに違反し名義を他人に倉庫業のため利用させた者には、一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金に処すとし、またはこれを併科すると定めています。
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倉庫業を他人にその名において経営させた者
倉庫業法は、倉庫業を他人にその名において経営させた者について、次のとおり定めています。
「倉庫業者は、事業の貸渡しその他いかなる方法をもつてするかを問わず、倉庫業を他人にその名において経営させてはならない。」
倉庫業者は事業を貸し渡している者に限らず、いかなる方法であっても倉庫業者以外の者に倉庫業者自身の名を用いて倉庫業を営ませることが禁止されています。
これに違反し倉庫業を他人にその名において経営させた者には、一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金に処すとし、またはこれを併科すると定めています。
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法第28条の2規定の罰則
次の事項に該当する者は、六月以下の懲役もくは五十万円以下の罰金に処し、または両方が併科されます。
営業停止命令に違反した者
営業停止命令に違反した者
倉庫業法は、営業停止命令違反者について、次のとおり定めています。
「国土交通大臣は、倉庫業者が次の事項のいずれかに該当するときは、六月以内において期間を定めて営業の停止を命じ、又は倉庫業の登録を取り消すことができる。」
この法律、この法律に基づく処分又は登録、許可若しくは認可に付した条件に違反したとき
欠格事由に該当することとなつたとき
営業に関し不正な行為をしたとき
国土交通大臣による営業停止命令に違反した者は、倉庫業の登録が取り消された後六ヶ月以下の懲役もしくは五十万円以下の罰金に処すとし、またはこれを併科すると定めています。
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法第29条規定の罰則
次の事項のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処されます。
国土交通大臣の変更登録を受けていない者
国土交通大臣の命令に従わない者
倉庫管理主任者を選任しなかった者
無許可で倉荷証券を発行した者
倉荷証券の発行停止命令に違反した者
国土交通大臣の変更登録を受けていない者
倉庫業法は、国土交通大臣の変更登録を受けていない者について、次のとおり定めています。
「倉庫業者は、倉庫業の登録事項を変更しようとするときは、国土交通大臣の行う変更登録を受けなければならない。ただし、倉庫の用途の廃止その他の国土交通省令で定める軽微な変更については、この限りでない。」
倉庫業者は、倉庫業の登録の際に提出した以下の事項について変更しようとするときは国土交通大臣の変更登録を受けなければなりません(倉庫業廃止、軽微変更を除く)。
氏名、名称および住所、法人の代表者の氏名
倉庫の所在地
国土交通省令で定める倉庫の種類(トランクルームを含む)
倉庫の施設及び設備
保管する物品の種類
その他国土交通省令で定める事項
これに違反し国土交通大臣の変更登録を受けていない者には、五十万円以下の罰金を処すると定めています。
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国土交通大臣の命令に違反した者
倉庫業法は、国土交通大臣の命令に従わない者について、次のとおり定めています。
「第八条第二項、第十二条第二項、第十五条又は第二十五条の十第二項の規定による命令に違反した者。」
倉庫業者は、以下の国土交通大臣からの命令に従わなければなりません。
倉庫約款変更命令
営業倉庫の施設または設備の修理・改造または倉庫の種類変更の命令
事業改善命令
倉庫業者誤認禁止命令
この国土交通大臣の命令に従わない者には、五十万円以下の罰金を処すると定めています。
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倉庫管理主任者を選任しなかった者
倉庫業法は、倉庫管理主任者を選任しなかった者について、次のとおり定めています。
「倉庫管理主任者選任に関する規定に違反して倉庫管理主任者を選任しなかつた者。」
倉庫業者は、倉庫ごとに管理すべき倉庫の規模や国土交通省令で定める基準に従って、倉庫の適切な管理に必要な知識および能力を有するものとして国土交通省令で定める要件を備える倉庫管理主任者を選任しなければなりません。
これに違反し倉庫管理主任者を選任しなかった者には、五十万円以下の罰金を処すると定めています。
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無許可で倉荷証券を発行した者
倉庫業法は、無許可で倉荷証券を発行した者について、次のとおり定めています。
「国土交通大臣の許可を受けないで倉荷証券を発行した者。」
国土交通大臣の許可を受けていない倉庫業者は、倉荷証券を発行することができません。
倉荷証券とは、倉庫業者が寄託者の請求に応じて預り証券および質入証券に代えて発行する有価証券のことで、預り証券および質入証券を合わせた性質を有し、一つの証券で寄託物(貨物)の譲渡や質入れなどの処分ができるものです。
これに違反し無許可で倉荷証券を発行した者には、五十万円以下の罰金を処すると定めています。
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倉荷証券の発行停止命令に従わない者
倉庫業法は、倉荷証券の発行停止命令に従わない者について、次のとおり定めています。
「国土交通大臣による倉荷証券の発行の停止の命令に違反した者。」
国土交通大臣による倉荷証券の発行許可を受けた倉庫業者(発券倉庫業者)が以下の事由に該当し、国土交通大臣から倉荷証券の発行停止の命令を受けたときは、その命令に従わなければなりません。
法人役員が倉荷証券発行許可の取り消しの日から二年を経過していない
発券倉庫業者が処分・登録・許認可の際に付された条件に違反したとき
発券倉庫業者が営業に関し不正な行為をしたとき
これに違反し倉荷証券の発行停止命令に従わない者には、発券倉庫業者の許可の取り消しおよび五十万円以下の罰金を処すると定めています。
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法第30条規定の罰則
次の事項のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処されます。
倉庫帰宅約款の届出をしないで寄託の引受けをした者
認定トランクルーム是正措置命令に従わない者
認定トランクルームの登録内容変更の登録を受けていない者
無届出のトランクルームで認定や優良という名称または誤認する名称を使用した者
国土交通大臣に対し営業報告をしないまたは虚偽の営業報告をした者
営業倉庫への立入検査の拒否や妨害または忌避した者
倉庫帰宅約款の届出をしないで寄託の引受けをした者
倉庫業法は、倉荷証券の発行停止命令に従わない者について、次のとおり定めています。
「倉庫寄託約款の規定による届出をしないで寄託の引受けをした者。」
倉庫業者は、倉庫業を実施する前に倉庫帰宅約款を定め国土交通大臣に届け出なければ、倉庫業を営むことができません。
これに違反し倉庫帰宅約款の届出をしないで寄託の引受けをした者には、発券倉庫業者の許可の取り消しおよび三十万円以下の罰金を処すると定めています。
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認定トランクルーム是正措置命令に従わない者
倉庫業法は、認定トランクルーム是正措置命令に従わない者について、次のとおり定めています。
「認定トランクルームが認定基準に適合していないと認める場合における是正措置命令に違反した者。」
国土交通大臣の認定を受けたトランクルーム(認定トランクルーム)が認定基準に適合していないときは、認定トランクルームをその営業に使用する倉庫業者(認定トランクルーム業者)は、国土交通大臣から受ける是正措置命令に従わなければなりません。
これに違反し認定トランクルーム是正措置命令に従わない者には、三十万円以下の罰金を処すると定めています。
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認定トランクルームの登録内容変更の登録を受けていない者
倉庫業法は、認定トランクルーム是正措置命令に従わない者について、次のとおり定めています。
「認定トランクルーム登録内容変更の届出規定に違反して登録事項を変更した者。」
認定トランクルーム業者は、認定トランクルーム届出の際に提出した以下の事項について変更しようとするときは、国土交通大臣の変更登録を受けなければなりません。
氏名、名称および住所、法人の代表者の氏名
トランクルームの名称及び所在地
トランクルームの施設及び設備
保管する物品の種類
倉庫管理主任者の氏名
その他国土交通省令で定める事項
これに違反し認定トランクルームの登録内容変更の登録を受けていない者には、三十万円以下の罰金を処すると定めています。
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無届出のトランクルームで認定や優良という名称または誤認する名称を使用した者
倉庫業法は、無届出のトランクルームで認定や優良という名称または誤認する名称を使用した者について、次のとおり定めています。
「認定トランクルームの名称使用制限の規定に違反して認定トランクルーム若しくは優良トランクルームという名称又はこれらと紛らわしい名称を用いた者。」
認定トランクルームの名称使用制限とは、何人も、認定トランクルーム以外の倉庫について、認定トランクルームや優良トランクルームといった名称またはこれらと紛らわしい名称を用いることを禁じるものです。
これに違反し無届出のトランクルームで認定や優良という名称または誤認する名称を使用した者には、三十万円以下の罰金を処すると定めています。
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国土交通大臣に対し営業報告をしないまたは虚偽の営業報告をした者
倉庫業法は、国土交通大臣に対し営業報告をしないまたは虚偽の営業報告をした者について、次のとおり定めています。
「倉庫業の営業に関する報告をせず、又は虚偽の報告をした者。」
倉庫業法は、倉庫業の適正な運営確保や倉庫利用者の利益保護とともに倉荷証券の円滑な流通確保を目的に制定されました。
この目的の達成に向けた倉庫業者に対する営業報告の求めに応じないことまたは虚偽の報告をすることを禁止しています。
これに違反し国土交通大臣に対し営業報告をしないまたは虚偽の営業報告をした者には、三十万円以下の罰金を処すると定めています。
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営業倉庫への立入検査の拒否や妨害または忌避した者
倉庫業法は、営業倉庫への立入検査の拒否や妨害または忌避した者について、次のとおり定めています。
「倉庫業の営業に関する立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者。」
倉庫業法は、倉庫業の適正な運営確保や倉庫利用者の利益保護とともに倉荷証券の円滑な流通確保を目的に制定されました。
この目的の達成に向け営業所や倉庫への立入検査に応じないことや妨害すること、立ち入り検査を嫌い避けることを禁止しています。
これに違反し営業倉庫への立入検査の拒否や妨害または忌避した者には、三十万円以下の罰金を処すると定めています。
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法第31条規定の罰則
倉庫業法では、上記の第28条から第30条の各罰則は両罰規定とされています。
「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して、第二十八条から第三十条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。」
一般的に処罰されるといえば違反をした行為者本人ですが、行為者が法人の代表者や役員、従業員である場合には、その行為者本人と法人を同時に処罰するといった規定を両罰規定といいます。
法第32条規定の罰則
次の事項のいずれかに該当する者は、五十万円以下の過料に処されます。
営業倉庫に生じた登録内容の変更届出をしないまたは虚偽の届出をした者
料金を掲示しないまたは虚偽の掲示をした者
過料とは、罰金や科料といった刑罰ではなく行政上の義務違反に対するペナルティーとして義務違反者に対し課される金銭的な罰のことです。
営業倉庫に生じた登録内容の変更届出をしないまたは虚偽の届出をした者
倉庫業法は、営業倉庫に生じた登録内容の変更届出をしないまたは虚偽の届出をした者について、次のとおり定めています。
「第七条第三項、第十七条第三項、第十九条第一項後段、第二十条第一項若しくは第二項又は第二十五条の六第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者。」
倉庫業を営む際、以下の事項について変更しようとするときは、国土交通大臣の変更登録を受けなければなりません。
軽微な変更の届出
倉庫業者の地位を承継した者による届出
倉庫業者の地位を相続した者による届出
営業廃止の届出
発券倉庫業者による営業廃止の届出
認定トランクルームの業者による営業廃止の届出
これに違反し営業倉庫に生じた登録内容の変更届出をしないまたは虚偽の届出をした者には、五十万円以下の過料を処すると定めています。
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料金を掲示しないまたは虚偽の掲示をした者
倉庫業法は、料金を掲示しないまたは虚偽の掲示をした者について、次のとおり定めています。
「料金等の提示に関する掲示をせず、又は虚偽の掲示をした者。」
倉庫業者は、消費者から収受する保管料やその他の料金、倉庫寄託約款、倉庫の種類その他の事項を営業所やその他の事業所において、利用者が見やすいように掲示しておかなければなりません。
これに違反し料金を掲示しないまたは虚偽の掲示をした者には、三十万円以下の罰金を処すると定めています。
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